狐に嫁入り!?
気がつくと、私は神社の前で倒れていた。
……あの、毎日母の完治を祈願して参っていたウタクの神社だ。
置き去りにしていた荷物もそのまま。
「う……ん、ここ……人間界?」
服装も着物を着ていたはずなのに、どうしたことかちゃんと制服を身に着けていた。
私はゆっくりと体を起こし、立ち上がって辺りを見渡した。
何も変わりはない。
いつもの神社。
ただ、日差しはいつもより少し強い。
たぶん今は朝じゃなくて昼だ。
日差し以外は全く変わりのない神社。
……それが、妙に悲しかった。