狐に嫁入り!?
人間界に着いた時、ついた砂を今更払い落す。
視界が歪んでいて、ちゃんと払えたかどうかわかんない。
ここにいたら余計に頭が混乱しそうで、とにかく神社から離れようと歩き出した。
足取りは重くて、途中で階段を踏み外しそうになった。
それでも向かいたい場所がある。
「……お母さん……」
私、帰ってきたよ。
もう会えないって思ってたけど……また会える。
それに……一緒に生活もできるんだって……。
「いいよね……?」
ウタクが私の幸せを願ってくれたなら。
これでいいんだよね?
誰も答えてくれない人気のない道を、気力が果てた私は倒れそうになりながら病院へ向かった。