狐に嫁入り!?
病院へ到着し、母がいる病室へと向かう途中、主治医の先生と会って驚かれた。
「実雨ちゃん!久々だね、毎日お見舞いに来ていたのにどうしたのかと思ってたんだ」
先生はすぐさま私の側まで寄ってきて心配そうに声を掛けてくれた。
「その……いろいろありまして……」
本当のことを言えるはずもない。
言ったところで信じてもらえるとも思わない。
私は目を泳がせながら口ごもった。
「そう……。あれ?そういえば今日、学校は?」
「学校もちょっと……そ、それより母の調子はどうですか?」
私の問いに今度は先生が口ごもる。
「お母さんは……ちょっと、あまりいい状態とは……言えなくて……」
「……そう、ですか……」
先生は辛そうに表情を歪め、それを見ていられなくて私は足元へ視線を落とした。