狐に嫁入り!?
母を大切にしていこう。
それが……ウタクを尊ぶことに繋がるのであれば……。
「あと10日後の手術、お母さんも頑張ってるんだから、実雨ちゃんも気をしっかり持って頑張るんだよ」
先生は「僕も精一杯頑張るから」と言葉を足して微笑んでくれた。
私は頷いてお礼を言い、母の病室へと向かった。
病室のドアをそっと開けて中の様子を窺う。
母は目をつぶっていた……それなのに。
「……実雨?」
「お母さん……!寝てたんじゃなかったの!?」
私に声を掛けてから、やっと目を開けて私を確認する。
「実雨のことくらい、目をつぶっててもわかるわ」
「……お母さん」
また一段と痩せてしまった母が口元を綻ばせた。