狐に嫁入り!?


……お母さん、何か知ってるの?


そう思ったけど……


「今も私のために、稲荷神社へ参拝してくれてるんでしょう?」


前、話したことを持ち出して神様という言葉を使っただけだった。

私は小さく息を吐いてから口を開いた。


「……神様が約束してくれた」

「なんて?」

「願いを……お母さんを、元気にしてくれるって」

「……そう」


母は私の言葉を、可愛らしいことを言っている、という程度に聞いて笑った。

これは本当のことなんだよ。


ウタクが叶えられない願いって……ないんだから。
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