狐に嫁入り!?
「私を……あやかしの世界へ連れて行って」
「……っ!」
ナライは聞きたくなかった言葉を聞いてしまったように、眉を一瞬しかめた。
風が吹いて、二人の静寂を包み込む。
やがて、ナライが小さく息を吐き出すと、困ったように口を開いた。
「実雨ちゃんのお願いなら何でもきいてあげたいんだけど……今回ばかりはごめん」
「どうして!?連れて行ってくれるだけでいいんだよ!?その後、私に何かあってもナライのせいにしないから!」
私はナライの腕をせがむように引っ張る。
そんな私から、ナライは苦しそうに顔を背け「……ごめん」と、もう一度消え入りそうな声で一言呟いた。