狐に嫁入り!?
ナライの態度がもどかしくて、腕を掴んでいた手に力を込める。
「ウタクに何か言われてるの!?」
「そうじゃない!」
ナライが怒ったように強く言うから、私は思わず手を引っ込めた。
「そうじゃないよ……実雨ちゃんが心配だから……それにウタクの気持ちがわからないわけじゃない……だから……!」
「……ナライ」
ナライもきっと苦しい。
なんだかんだで、きっとウタクとも仲良いはずだもん。
そのウタクが今、大神様に捉えられて苦しんでる。
でも……私のことも考えてくれていて……。
私が何も言えずにいると、ナライは自分自身に対するイライラをかき消すように、頭を掻きむしった。