狐に嫁入り!?
『ハッ。怯えながら来たんか。ぼっけぇ阿呆じゃな』
……ぼ、ぼっけぇって……どこかの方言?
私が腹立ちながらも言い返せずにいると、クイッと後ろの襟を掴まれて引き上げられ、地面から足が離れた。
「きゃっ!う、浮いてる!なんで!?」
ジタバタしてみるけど、空中を手足が掻くだけで、地につくことはない。
『遅そうじゃけぇ、ワイが連れて行ってやらぁ』
「へ!?わっ!!」
大神様の方言を理解する間も無く、私は浮いたまま、後ろ向きで引っ張られた。
景色が次々に流れるように変わっていく。
鳥居はとっくに越えてしまい、何百段あるだろうと思うほどの鼠色の階段も、足元を悠々と過ぎていく。
楽だといえば楽だけど……
「ワイに勝てるわけねぇじゃろ」って、弄ばれてるみたいで納得がいかない。