狐に嫁入り!?
「は、離してよ!」
神門をくぐり終えたところで、見えない相手に向かって叫んだ。
「ほな、離しちゃらぁ」
「ぎゃっ!!」
いきなり襟元を掴まれていた術を解かれて、私は地面に転げ倒れる。
砂利で体中が痛い。
「いったぁ……!なんなのよ、いきなり!」
「離せ、言ぅたんはオメェじゃが」
「そうだけど……って……!」
声が、頭じゃなく、ちゃんと空気に乗って耳に届いていることに気付く。
私はすぐさま立ち上がって声の方を確認した。
玉砂利が敷き詰められた中に、石畳で出来た一本の道がある。
その道を視線でたどって行くと、
上部が二方へ勾配し、下部は四方へ勾配をしている分厚い萱葺(かやぶき)の屋根が二棟連結して並び、
縦に伸びた拝殿も接合されて、横に広く細工に作られた木造の本殿があった。
趣と厳かさを感じる。