狐に嫁入り!?


「は、離してよ!」


神門をくぐり終えたところで、見えない相手に向かって叫んだ。


「ほな、離しちゃらぁ」

「ぎゃっ!!」


いきなり襟元を掴まれていた術を解かれて、私は地面に転げ倒れる。

砂利で体中が痛い。


「いったぁ……!なんなのよ、いきなり!」

「離せ、言ぅたんはオメェじゃが」

「そうだけど……って……!」


声が、頭じゃなく、ちゃんと空気に乗って耳に届いていることに気付く。

私はすぐさま立ち上がって声の方を確認した。


玉砂利が敷き詰められた中に、石畳で出来た一本の道がある。


その道を視線でたどって行くと、

上部が二方へ勾配し、下部は四方へ勾配をしている分厚い萱葺(かやぶき)の屋根が二棟連結して並び、

縦に伸びた拝殿も接合されて、横に広く細工に作られた木造の本殿があった。


趣と厳かさを感じる。
< 403 / 515 >

この作品をシェア

pagetop