狐に嫁入り!?


唾が喉を通ることさえ難しいほど、体が一気に強張る。


それでも私は……。



思うように足が動かないけど、ゆっくりと歩みを進め、私は本殿の中へと入った。


近くで対面すると、立っていられないほどの威圧を感じる。

私は必死に膝へ力を入れた。



「ウタクを……返して」


「嫌じゃ」


「な、なんで!?まだ私の願いは叶ってないのに!

私とウタクが正式に婚姻の儀を交わせば……間に合うはずでしょ!?

掟違反にならないから、ウタクへの罰だって意味がなくなる!」


「いーやーじゃ。ワイの楽しみがなくなるじゃろぉが」


「た……楽しみ?」



大神様の言葉が理解できず、眉をひそめて聞き返してしまう。


そうしていると、大神様の後ろにある祭壇の奥から……。

< 405 / 515 >

この作品をシェア

pagetop