狐に嫁入り!?


どこにいるの!?

祭壇の向こう側?


私が大神様を越えた先へ目線を巡らせていると、大神様は舌打ちをして、苛立ちを露わにした。



「死に損ないはトドメさすまで静かにせぇや!

ったく、しくじったなぁ。

内陣じゃのぉて、艮(うしとら)か巽(たつみ)か……どっか別のとこ、詰め込みゃえかった」


ウタクを閉じ込めた場所を失敗したのか、後悔したように盛大なため息を吐く。

それから気を取り直したように、私を上目遣いで見てきた。


「まぁえぇわ。人間、いじめられるんが好きなんじゃろ?」

「好きじゃない!それよりウタクを……!」

「ウタク、ウタクって、うるせぇのぉ!!」


大神様は怒りを吐き出すように大声で言うと、懐から扇を勢いよく出した。


その軌道に沿って、微弱な電流が流れているのか、

バチバチと光を放ち、本殿内部の柱に斧を振り下ろしたような傷がついた。
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