狐に嫁入り!?
ウタクは悪趣味だ。
人をいじめるのが楽しいだなんて。
私が断ろうと口を開いた時、ナライが動揺したように声を上げた。
「ストップストップ!俺の前でそんなことしないでくれよ!」
ナライは私達が本当にキスをすると思ったのか、焦って止めに入ってきた。
その側で皐月さんは静かに目を逸らしている。
「するわけないでしょ!」
人様に見せるような行為でもあるまいし。
「あ、でも……ちゃんと願いは叶うよね?
婚姻の儀が完了する条件は満たしたし、中身が金狐なら……」
人間界の時間がわからないけど、こっちの世界では既に満天の星空。
そろそろあやかしの世界での2日目も終わろうとしている。
「さぁ、どうだろうな」
「ウタク!?」
ここにきてはぐらかさないでよ。