狐に嫁入り!?
自分の命をかけてまで、ウタクは私の願いを叶えようとしてくれたから……
今さら疑うわけじゃないけど、少し気になることがあるんだもん。
「……ウタクって、私のこと本当に好きなの?」
交換条件で交わされた婚姻の儀。
でもウタクはもっと前から、私の願いを叶えるために準備をしてくれていた。
嬉しい気持ちでいっぱいだったけど、落ち着いた今、その理由が気になっている。
ナライが言ってた「百日で大体の人間が参拝をやめるのに……」っていう理由だけで私に決めたの?
それだけで、本当に命をかけてくれたの?
「私のこと……千日参った根気のあるヤツだから好きなの?」
「馬鹿が」
「え?じゃぁ……が、外見?」
「もっと馬鹿になったか」
ウタクは呆れたようにため息を吐いた。
でもナライは私の黒髪と黒目で嫁にしたいって言ってきたから、あり得ないこともないでしょ。
「ちゃんと……言ってよ」
はぐらかすウタクが焦れったい。
確かな言葉が欲しい自分も焦れったい。