狐に嫁入り!?


自分の命をかけてまで、ウタクは私の願いを叶えようとしてくれたから……

今さら疑うわけじゃないけど、少し気になることがあるんだもん。



「……ウタクって、私のこと本当に好きなの?」



交換条件で交わされた婚姻の儀。

でもウタクはもっと前から、私の願いを叶えるために準備をしてくれていた。

嬉しい気持ちでいっぱいだったけど、落ち着いた今、その理由が気になっている。

ナライが言ってた「百日で大体の人間が参拝をやめるのに……」っていう理由だけで私に決めたの?

それだけで、本当に命をかけてくれたの?



「私のこと……千日参った根気のあるヤツだから好きなの?」

「馬鹿が」

「え?じゃぁ……が、外見?」

「もっと馬鹿になったか」


ウタクは呆れたようにため息を吐いた。

でもナライは私の黒髪と黒目で嫁にしたいって言ってきたから、あり得ないこともないでしょ。



「ちゃんと……言ってよ」


はぐらかすウタクが焦れったい。

確かな言葉が欲しい自分も焦れったい。

< 468 / 515 >

この作品をシェア

pagetop