狐に嫁入り!?
ナライと皐月さんがいなくなって、二人きりになった部屋が妙に静かに感じる。
「あ、あのさ、ウタク?拗ねてないからね、私。可愛がらなくていいから!」
いつも通りにいじめられたとしても、たとえ本気で可愛がられたとしても、
カチコチに固まった今の私じゃ、うまく対処できる自信がない。
ジリジリと後退しながらウタクとの距離を広げていると、ウタクに鼻で笑われた。
「ふん、何を期待してるんだ?」
「期待してないってば!」
「このまま相手してやりたいところだが……そろそろだな」
「な……何が?」
まさか、そろそろ布団の準備ができたから移動しよう、なんて言わないでしょうね?
私の心の準備はまだまだできそうにないんだけど。
おかしいな……覚悟したはずなのに。
「そう期待を膨らませるな。実雨が考えているようなことじゃない」
もう一回「期待」の言葉にツッコミをいれようかと思ったけど、ちょっと様子が違うみたい。
私はウタクの次の言葉を待った。