狐に嫁入り!?
「実雨は……こういう格好の方が好きか?」
「え?」
緩められた首元が、いつもの着物とはまた違った色気を出していて、ドキンと鼓動が跳ねる。
でも、ウタクの瞳は妖艶さではなく、不安がにじんでいる気がした。
「そりゃ……スーツは大人っぽくて憧れるし、人間らしい格好のウタクも悪くないけど」
「そうか」
ウタクはフイと顔を逸らした。
あ……ウタクの考えてること、わかったかも。
「でも、関係ないよ」
「実雨?」
ウタクの瞳に色が戻る。
どうやら私が勘付いたことはアタリらしい。
「ウタクは、ウタクでしょ」
ウタクを神様だから側にいて欲しいと思ったんじゃない。
人間だったらよかった、なんて思ったこともない。
ウタクがウタクだから。
意地悪もするし、わがままも言うけど、本当はすごく優しいウタクだから。
私は愛おしいと思う。
ウタクも言ってくれたでしょ。
「実雨は実雨だ」って。
その気持ちと……一緒だよ。