狐に嫁入り!?


私の言葉にウタクはクスリと笑った。


「たまには良いこと言うんだな」


「まぁ、ね」


「あやかしの世界へ戻ったら、実雨にも褒美をやらんとな」


「え……!」



ウタクからご褒美をもらうのは怖いかも。

私が固まっていると、ウタクは術を唱え始めた。



「これ以上無理だと言うくらい、存分に可愛がってやる」

「そ、それならもう無理です!って……わっ!」



私の断りはちゃんとウタクに聞こえただろうか。



半ば風にかき消されながら、気が付いたらあやかしの世界の森へ戻ってきていた。

< 509 / 515 >

この作品をシェア

pagetop