狐に嫁入り!?
私の言葉にウタクはクスリと笑った。
「たまには良いこと言うんだな」
「まぁ、ね」
「あやかしの世界へ戻ったら、実雨にも褒美をやらんとな」
「え……!」
ウタクからご褒美をもらうのは怖いかも。
私が固まっていると、ウタクは術を唱え始めた。
「これ以上無理だと言うくらい、存分に可愛がってやる」
「そ、それならもう無理です!って……わっ!」
私の断りはちゃんとウタクに聞こえただろうか。
半ば風にかき消されながら、気が付いたらあやかしの世界の森へ戻ってきていた。