狐に嫁入り!?
大神様がちゃんと妖狐もしつけるようになったのか、辺りは穏やか。
でも目の前には穏やかじゃない狐様が一匹。
「ふん、無理だと言われれば、もっと無理だ、嫌だと言わせたくなる」
ウタクの姿はスーツから白い着物に、耳も尻尾も元に戻っていた。
対する私はやっぱり精霊の血が薄いのか、相変わらず黒髪のまま。
ウタクはそれを指ですくと、私の肩をそっと押して大樹にもたれさせた。
「う……ウタク!こんなところで……!」
「こんなところで……なんだ?何をすると思う?」
「……っ意地悪!」
反抗する私を、ウタクが楽しそうに見てくる。
私はその目で見られるだけで、恥ずかしくてたまらないのに。
「案ずるな。いじめてとよがる実雨を、他の誰かに見せるわけがないだろう」
「よ、よが……っ!」
よがったりなんてするわけないじゃない!