狐に嫁入り!?
母はまた咳き込みだし、今度は咳が止まらなくなってしまった。
先生がナースコールを押して、看護師に薬を持ってくるよう指示を出す。
「実雨ちゃん、悪いけど今日は……」
「はい……帰ってちゃんと考えます。明日、お返事します」
私は先生に一礼し、胸を押さえて咳き込む母に後ろ髪を引かれる思いで病室を出た。
廊下ですれ違った看護師さんが母の病室へと入っていく。
道具もたくさん運び込まれている。
……きっと、私の想像以上に母は苦しい思いをしているんだ。
なのに……「実雨、元気ない?」なんて……。
「自分はどうなのよ……?」
母はいつだって、私のことを考えてくれている。