狐に嫁入り!?


神社が見えてくると私は駆け足になった。

階段も一気に上がり、境内に到着すると一通り見渡して大きな声を出した。


「ウタク!聞きたいことがあるの!」


神社に私の声だけが響く。

あたりは静まり返ったままで、全くウタクが出てきそうな気配がない。


「ウタク、お願いだから出てきて!」


風が吹いて木の葉が揺れたが、ウタクが現れる時のように強い風ではなかった。

一応、音がする方を確認するがやはりいない。


「なんなのよ……待ってるって言ったじゃない……」


私は歯がゆくて地面を蹴った。

蹴った足が小石に当たったようで、一つ転がり出す。


小石の行く先を目で追っていると……

いつの間に現れたのか、草履を履いた人の足元でピタリと止まった。
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