君の隣。


「じゃ、サーブ打つから
打ち返してみて?」


「うん。」


「ネットを越すようにな。」


長谷川君はそれだけ言うと
構えを取った。

そのフォームがかっこよくて
ついつい見とれてしまう。



この球を取れなかったら
運動に関してもだめだと思われる。

やれば出来る子っていうのを
見せ付けてやらなきゃ!!


真剣にボールを見つめる。


早いボールが向かってくるが、
落ち着いてボールを目で追う。



『ぽんっ』


「え…打て…た?」


「お前、やるじゃん!!」

「今のは…集中したから…ね。」


「いや、いつも集中しろよ。」


『やるじゃん』ってことは
出来ないって思われてたってことで…


なんか悔しい。
長谷川君にそう思われていたことが
何か悔しい。


あぁそうか。
きっと私は、長谷川君に
認めてほしいだけなんだ。



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