君の隣。

叶汰はうなずいて
微笑んだ。


でも、その笑顔が
ちょっと悲しそうで…。



叶汰はきっと分かってた。
これからのことを。
これから起こる試練の事を。


「だから、安心して眠って?」



”ありがとう”




この日、
叶汰と交わした
最後の言葉だった。


叶汰は安心したのか
本当にぐっすり寝ていたから。


家を出てすぐ
秘書の小野さんが
走ってやってきた。



「小原様!!
ちょっとお待ちください。」


「へっ!あ、はいっ!」


「はぁ、はぁ…」


「だ、大丈夫ですか?」


「えぇ、心配には及びません。」


およびません…って
どういう意味…?


「叶汰様から
お預かりしていた品です。」


「あ、ありがとうございます。」



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