悪い女-side廉-

進路指導室を出る茜ちゃん。その後、出てきた数学教師。



茜ちゃんは俺に気付かず、戻っていく。反対に俺に気付いたのか僅かに眉を上げたのは掴めない男。ああ、今日はツイてない。俺は軽くため息をつく。

ツカツカと距離を縮める数学教師塚本。

無視したい所だけど、絡んでしまうあまのじゃくな俺ってほんとー面倒くさ。


「…せんせ、おはよ♪」
「ああ」


気のない返事、面倒くさそうなのは俺に限らずいつもの事だ。

無造作な髪がかかる細い目は真っ黒で整った顔立ちは緩い雰囲気とは反対に隙がない。

多分、茜ちゃんが今最も気になってるだろう男。

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