悪い女-side廉-
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「茜ちゃん帰ろ♪」
茜ちゃんの教室に向かえば、ザワザワとした教室で友人に促され思い切り眉をしかめた茜ちゃんがこっちを向く。
「『雪乃ちゃん』は?」
「お茶の稽古だって」
易々と嘘をつくと茜ちゃんはハァとため息を零した。約束なんて無かった振りをするなんてどうかしてる、と自分でも思うけどどうだっていい。何より朝の光景が不愉快で茜ちゃんを抱かないと気が済まない。
茜ちゃんは諦めたように首を竦めると俺の横に並んだ。
当たり前のような光景に満足する、この不可解な感情の理由は知らない。