be;lieve
時計を見ると、まだ明け方の六時だった。
最後に確認したのが三時過ぎだったから
結局あたしは今日も少ししか眠れなかった。
夏も近いせいか、陽が昇るのが早い。カーテンで遮断しきれなかった光が、あたしの機嫌を逆撫でる。
暇だ。
だけどタカヒロが起きるはずもなく。寝起きの悪い彼を起こす気力もなく
ベッドを抜け出し、タカヒロのパーカーを借りると
そっと扉を開けて、ベランダに出た。
置いてあった煙草を手にとり火をつける。
吐き出した煙が、ゆらゆらと空を舞う。
『おかあーさーん!!』
駆け抜ける、少女の声がする。