ラブファイター
「見惚れてんじゃねーよ」
「見惚れてないし!」
「あっそ、寛太、早く行こうぜ。こいつ、視界に入れたくねーし」
な!なんなのよーー??
失礼すぎるでしょ?
横目でチラッとこっちを見る椎名くん。
「えー、凛。寛太と登る~!」
「俺も凛と登る~」
子供みたいにだだをこねる2人。
「やだっ」
彼は冷たくきっぱりと言う。
「えー?いいよな、悠斗」
「えー?いいよね、麻由」
凛と寛太の声が見事にハモった。
「お…俺は良いと思うよ」
「別に、良い」
椎名くんとあたし意外の肯定により、決定した。
ぶつぶつとモンクを言っている椎名くんに、
「和泉。」
寛太は椎名くんの耳元で何かを言う。
その瞬間、椎名くんの顔が少し引きつった。
そして、
「仕方ねえな…」
と、半ば諦めに言った。