ラブファイター



手のひらに米粒を乗せてあたしに見せてくる。

「だらしねぇ奴だな」

「な!日本人だったら米粒ぐらいつくわよ」

「はいはい」

あからさまにあたしを馬鹿にしてる。

憎たらしいのに、あたしは何も言えない。

だって、椎名くんに勝てる気がしない。
多分勝てるコトがない。


「麻由、行こっ」

再びあたしは教室へと向かう。


麻由に言ったはずなのに、何故か椎名くんはあたし達の後をついてくる。



「何でついてくるのよ?」

嫌味たっぷりに微笑む。

「ついてきてねぇよ」

「ついてきてるじゃん」

「自惚れんな」

「…」


どう考えたって、あたしはの言ってるコトのが正しいのに、


「…自意識過剰」

「…馬鹿じゃないの?」



鋭く睨む椎名くんの前では、

「あ?」

「何でもないです!」

何も言えなくなってしまう。


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