ラブファイター
意地悪そうに笑いながら、
「はいはい」
と、あたしの頭をポンポンと叩いた。
「和泉ー?はよっ」
椎名くんを呼ぶ声がして、下駄箱の方を見る。
爽やかな男の子がだんだんとこっちに近づいてくる。
「はよっ」
椎名くんは、その人に気付くなりあたしの頭から手をどけた。
爽やかな男の子はあたしを見るなり、ニコッとというか、ニヤッというか分からない笑いを見せた。
「長谷川さん、だよね?」
「え?うん…」
いきなり名前を言われて驚きを隠せない。
ふーんとあたしを見て頷いている。
な…なに?
無意識に一歩二歩と後ずさりしてしまった。
「な…何ですか?」
ドンドン近づいてくる顔。
自然にあたしの顔は赤くなってしまう。
「ゆ…悠斗?」