〜大切な物〜

意地と嘘

愛しい雅が
毎日毎日あたしと
同じ色の日々にいる。

いつも同じ屋根の下
いつも同じ帰り道
いつも同じ雅の声
いつも同じ一日

只ひとつ変わったのは
照れて笑う二人が
どの日々にも居る
ということ…。

そしてあたしの
卒業式が近付く…。
あたしが少し
大人になってくのを
感じて日々。


そうして
③月…
卒業式がついにきた。
あたしは
制服にみたてた服と
卒業証書と花を
持ち分かち合った
友からもらった手紙に
涙を流した。

そしてあたしは
雅と同じ屋根の下から
出て本来の家に
戻った…。
二人遠くなる。

雅との遠距離が
始まった…。

その日あたしは
「あたしを雅の彼女に
して」たった一言を
雅に伝えた…。

「まぢで!嬉しい」
「いっぱいデートしようなっ!」
「うん…約束…」

“ああ愛しい…”

その日から二人は
“恋人”
になった…。

毎日
朝〜晩までメールをして
夜になれば
電話で話した。

雅は何度も
電話を切る時に
泣いた…。

春でも夜は
まだ冷えていた。

長電話の末…
「もう寒いし風邪ひくよ」心配してサッと
かけた言葉を
雅は本気で喜んだ。

雅はあたしに
全てを話してくれた
自分の今までを…
家庭の事を…

雅は実は

5人兄弟

お母さんは妹と姉を
③人つれて京都に
住んでる

父親は心臓病…

小さい頃
虐待うけてた

自殺未遂

反抗期

全てを話してくれた

本当に本当に
嬉しかった

だけどあたし達は
いつからか
離れていってしまってた

雅の心があたしから
離れていってるなんて
気付く事も無く…


あたしは
いつも意地を張ってた
嘘も沢山ついた。

数えきれない程に…
大切な貴方に
良く思われたくて
自分を着飾ってた。

そんなあたしの
強がりや見栄が
貴方を傷つけてた
なんて考えてなかった。
いつからだろう…
貴方とのメールの数が
減ったのは…
電話の時間が
短くなったのは…。

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