楽々荘の住人十色
ただ、ミシンの音に合わせて流れるミシン目は酷く荒い。

走らせては、止めタバコを吸う。
けち臭く短くなった吸い殻が山盛りの灰皿。
部屋の中を煙りが充満し壁紙に染み込んでいく。

小さい電気ストーブは最大馬力で温風を出し寒くて開けられない窓を曇らせる。

ミシン糸もあと、少しだけ。
ミシンの電源を切り詩音に逢いたいを遠回しに打ったメールを送信して冷たいベットに潜り込んだ。

また、同じ時間と経過のループしてエンドロールの始まりだ。

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