楽々荘の住人十色
鍋蓋が小刻みにカタカタと音を立て始めると食べ頃。

綺麗に手を洗った有馬に寝不足気味の実春。
今日のシェフ三上さんに天敵の松本さん。

ダシと熱々に煮えた具材を頬張り、冷えたビール渇いた暖かい喉を潤す。

「あ~生き返ったー」

死んでる様な顔付きだった実春の顔が見る見る明るくなっていく。

「俺、実は調理師の免許もってんの」

三上さん突然のカミングアウト。
食が進めば、どんどん賑やかになっていく。
レズビアンで女しか愛せない私が、こうして男に囲まれて飯を食う空間は違和感だらけ。

そんな事を実感してると私と、この寮に住むもう一人の女子が帰ってきた。


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