楽々荘の住人十色
あれから、数日たった。

学校にも行ってない。
バイトは偶然にも連休。
詩音にすら逢ってない。

やる事は一つ。
ただ、ブラウスの制作に励んだ。
ほつれた糸が汚く床に散らばり、痛々しくトルソに突き刺さるマチ針。
そして、クタクタになった余り布と同じようにグッタリな私が鏡に映る。

痛んで伸びっぱなし髪はボサボサで見るも無惨。
酷い顔だ。


コンコン


数日間、人と会ってないと反応が鈍る。

「廉、入るよーって…何だよコレ…片付けろよ」

嫌悪感、丸出しで部屋に入ってきた実春。


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