楽々荘の住人十色
好きな事をして。
愛する人が出来て。
綺麗だと思えるモノを沢山作って着せた。

だから、私は何かにラインを引く事、誰かに干渉されて評価される事を拒んで無視してきた。
深く受け止められずにいた。

「廉?泣いてんの?」

どんな風に表現したらいいのか迷って混乱して泣いた。

辛いとか、悲しいとかそんなのじゃない。
ただ、涙が出た。

「久々だよ、こんなに泣いたの」

指で擦り消すように涙を拭った。
でも、そう簡単には止まってくれなかった。

「俺は、廉が泣くのなんて初めて見たよ」

そう言った実春と抱きしめ合いながら泣き笑った。


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