楽々荘の住人十色
部屋に入ると詩音は私にキスをする。

「疲れてないの?」

キスを仕返す。
安っぽい石鹸の香りが染み込んだ長い髪が絡み付く。

「廉が来てくれるんだもん、頑張りたいじゃん」

冷えた頬を手の平で包み二人でベッドに潜る。
そして詩音の体に自ら溺れにいく。

頭がおかしくなりそうだ。
クラクラする。
胸も圧迫がかかったようにきしんで苦しい。
でも、この感覚が欲や寂しさを埋めて覆い隠してくれるのなら、いくらでも堪えれる気がする。

冷たい布団がだんだんと二人の体温を奪い温もり始める。

外が明るくなったら、寮に帰ろう。


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