楽々荘の住人十色
早苗さんとは、あの日以降会ってない。
連絡も途絶えた。
最後に言ったのは、「帰ります。」
あの記憶が断片的に浮かんでは消える。
夏の木陰が風に揺られて影が資料室の中を暗くする。
夏休みも、もう終わる。
カチンッ
カチンッ
聞き覚えのある軽快に地面を叩く杖の音。
「桐島君、保存資料報告書の性質検査欄が抜けとるのだが…」
真っ黒に日焼けし白髭と白髪がより際立つ北王子先生がにんまりと笑う。
「先生!お帰りなさい!帰ってらしたんですね」
連絡も途絶えた。
最後に言ったのは、「帰ります。」
あの記憶が断片的に浮かんでは消える。
夏の木陰が風に揺られて影が資料室の中を暗くする。
夏休みも、もう終わる。
カチンッ
カチンッ
聞き覚えのある軽快に地面を叩く杖の音。
「桐島君、保存資料報告書の性質検査欄が抜けとるのだが…」
真っ黒に日焼けし白髭と白髪がより際立つ北王子先生がにんまりと笑う。
「先生!お帰りなさい!帰ってらしたんですね」