楽々荘の住人十色
「失礼します、資質調査と復元が終わりました。何部か足りない資料があるんですが…」

と、雑談が花咲く研究室に冷静な声が入ってきた。

「あぁ間宮君、ご苦労さん。君もどうだね、お土産でも」

間宮 葵
同学年で同じ修復専攻の外見(身長180cm以上で冷静と言うか冷徹)と不釣り合いな名前のモテメンが冷ややかな目で俺を見下ろす。

「葵、悪い!残りの資質調査、俺がやってる途中だから」

葵は、こっちを見向きもしないでスッとお土産を手にした。

「先生、お土産頂きます。じゃあ桐島君、17時までに仕上げて下さい。絶対」

時計は15時30分を過ぎていた。


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