楽々荘の住人十色
お土産を受け取ると、また資料室へ戻る悠々と歩く葵を追いかけ慌てて研究室を飛び出した。

「葵!絶対に今日の17時までなきゃダメか?先生は別に急いでなかったぞ」

挨拶をする後輩を尻目にバタバタと資料室に飛び込む。

「あのさ、俺、実春のその無理に何でも背負い込むドM精神剥き出しにされると余計に追い詰めたくなるんだよ」

性格が悪いとかの問題を超えた発言。

「まぁ多分だけど、実春のそー言う所があの人も気に入ってるんだと思うけど」

資料をまとめるホチキスの音が俺の中の何かを止める。


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