楽々荘の住人十色
目が覚めると、ぼんやりと眩しい日差しが自室よりも明るく窓から指していた。
隣で寝ていた廉は、庭の植物に水を与えてる。

談話室の窓から何度も目にする光景。
フラッシュバックのように。

真夏の昼は身体を汗ばませ服の襟を湿らせていた。
洗面台の温くなった水で顔を擦る。
鏡に映ったのは、紛れも無い彼女の残した赤い痕跡と疲れた顔。

「まだ、残ってたか…」

触れると火傷しそうな痕跡。
でも、イツかは消える。

1番上のボタンを止めると寮を出た。


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