楽々荘の住人十色
そんな蛞蝓(なめくじ)な私が恋したのは、ストロボの光が走るスタジオで青いバラみたいな神秘的な美しさを放つ彼だった。

「譲二(じょうじ)、次は背中をこっちに向けて。秋穂(あきほ)ライティング変えて」

日本人離れした白い肌に細くて華奢にも見える身体の曲線。
汚く焦げた手袋を手に彼が1番綺麗に見える光を考える。

「ねぇ、悟(さとる)ライト変えていい?多分オレンジ系のが合うと思うから」

薄茶色の瞳の中に妖艶な光りを閉じ込める。
ライティングの基本だ。


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