楽々荘の住人十色
「今日来れないって、ドタキャンされたんだ」

早めにスタジオに入ったけど今日は特別なくらい上手くいかない。

「そっか」

細さを際立てる淡い太めのジーンズに薄手のシャツを着た嬢二は浮かない顔をした。

ストロボが走る。

「今の試し撮りだから、まだリラックスしてて」

浮かない顔の嬢二は、妙に色っぽくてファインダー越しに探るのが恥ずかしい。

「今日、元気ないね。何かあったの?」

カメラのレンズを取り替えて、照明を意識しながら被写体に近付く。


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