楽々荘の住人十色
それを不法侵入って言うんだよ。

「言い訳はいいから、早く出ていってくださいよ」

制作時間と睡眠時間がどんどん奪われていく。
とにかく、廊下に押し出す。

「それに今日の午前中は俺の授業だし、だから迎えに来たんだよ」

ドアを思いっ切り閉めカーテンも閉じ鍵をかけた。
布団に潜ってみたけど、眠気はドコかに吹っ飛んでしまったみたいだ。

海外のファッション誌を広げミシンの電源をいれる。
薄っぺらい遮光カーテンは浅い日の光で未完成の服を着たトルソ(手足のない胴体だけのマネキン)を不気味に照らす。


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