指先の魔法
部屋に入ると周りはプラネタリウムになっていた
「さぁ、ここに腰掛けて」
少年は座る
とても幻想的な空間
「さて…はじめますよ。ひとつ注意があります」
「なに?」
「ネイルアートをしている最中は決して手を見てはいけません。魔法が消えてしまいます」
「うん…わかった」
家主は笑うと魔法をかける
少年は黙って上を見る
「…ティナ」
「はい」
「おしゃべりしていい?」
「もちろんです」
「このおへやの空はどこまで続いてるの?」
「どこまででも。あなたが思う場所まで」
「じゃあおれの家まで続いてるかな?」
「そうですね。きっと……さぁ、できました!ごらんなさい」
少年は顔を下に向けて視線を動かす
「わぁ…!」
小さな少年の爪には桃色と白色のお星様。
「ティナ、ありがとう…なんだか勇気出てきた…おれちゃんとモモにあやまる!」
「はい。きっとモモさんに伝わりますよ」
少年が椅子から降りた瞬間、何かポケットに違和感を感じた
少年が取り出すとそこには、壊してしまったはずのブローチ
「…っ!ティナ!」
振り返り叫ぶと
そこはいつものチェリザの街だった