世界の果てに - 百年の光 -
躊躇うように、メルティは瞳を伏せる。
あたしの服を握る手に、力がこもった。
「…みんな、分かってくれるかな」
「メルティが一生懸命伝えれば、きっと分かってくれるよ」
メルティは顔を上げると、「…本当はね、」と言って口を開いた。
「本当は、この里が大好きなの。みんなが、大好きなの。わたしの力がないと、みんなが危ないって分かってる」
「…うん」
「きっと嫌なこと全部、力のせいにしてた。…せっかく、みんなを助けられる力を授かったのにね」
ほんの少しだけ、メルティが笑った。
やっぱり子供には、笑顔が一番だね。
「わたし…もう部屋に閉じ籠るのはやめる。あなた、名前は?」
「ん?莉緒だよ」
「…ありがとう、リオ」
柔らかいその笑顔に、あたしもつられて笑顔になる。
「どういたしまして!一緒に頑張ろう、メルティ」
メルティは頷くと、あたしの手を取った。
ゆっくりと扉を開くと、新しい一歩を踏み出した。
…ほんの少しの勇気で、世界は変わるんだ。