世界の果てに - 百年の光 -
「メルティ…!?」
一階のリビングに、みんなはいた。
メルティの姿を見るなり、サムエットさんが驚いたように立ち上がる。
「一体、どうして…」
「…ごめんね、パパ」
駆け寄ってきたサムエットさんを、メルティはじっと見上げた。
そして、震える唇を動かした。
「…わたし、嫌だった。みんなに特別扱いされて、力だけを頼りにされて…こんな家に隔離されて」
「……メルティ」
「…でも、頑張るから。みんなのために頑張るから。だから…普通の生活がしたい」
メルティの言葉は、サムエットさんに届いたみたいで。
サムエットさんはメルティをぎゅっと抱きしめると、ひたすら謝った。
「ごめんな、メルティ…!父親なのに、分かってやれなくて…!」
「…ううん」
サムエットさんを、小さな体で抱きしめ返すメルティの表情は、とても嬉しそうだった。
「…一件落着じゃのう」
その光景をじっと見守っていた長老が、ぽつりと呟いた。
「さすが、わしが見込んだ娘じゃ。感謝する」
「や、あたしは何も…」
何だか照れ臭くて、あたしはぶんぶんと首を振る。