世界の果てに - 百年の光 -

魔術の根元が同じだから、ブレスレットをつけていたあたしとクリスが通じ合ったんだよね。


「その根元は、意図的に小さくすることはできても…完全に消すことはできぬのじゃ」


「でも、その根元で誰が魔術をかけたか判別できるの?」


あたしが訊ねると、長老は頷く。


「勿論、わしらのような素人では到底分からぬ。しかし…魔術の玄人、つまり魔術師なら話は別じゃ」


エルとアスティは、魔術に関しては弱いのか、長老の話に耳を傾けていた。


「魔術師は、あらゆる魔術を扱う。その根元も、よほどの新米でなければ見分けることができるのじゃ」


「見分けたとしても…顔とかどこにいるとか、そういった情報まで分かるの?」


アスティが首を傾げると、長老は得意気に「うむ!」と言った。


「魔術師は、いわゆる資格である。魔術師となったものは、その根元から至る情報までを、登録する必要があるのじゃ」


「…なるほど。魔術師同士なら、その情報を確認できるってワケか」


「うむ。魔術師の情報は、シェルビッツで保管されていると聞くぞ」


「シェルビッツか…遠いな」


エルは舌打ちすると、あたしを横目で捉えた。


「おい、ちびっこ」


「何?」


「お前はどうしたいんだ」


エルがあたしに意見を求めるから、思わず面食らってしまった。


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