世界の果てに - 百年の光 -
∴会いに行こう
少し肌寒くなってきた風が、体温を奪う。
「うー…、お風呂に入りたい」
「贅沢言うなアホ」
「もう一週間以上経つしね」
小人の里を離れたあたしたちは、また山道を歩き出し、隣国のセレエを目指していた。
小人サイズから普通の大きさに戻ったときの違和感は、徐々に薄れていった。
長老の家のお風呂に入らせて貰ってから、早一週間。
それきりお風呂には入れず、タオルで体を拭くだけの毎日にうんざりしてきた。
「ね、あとどれくらいで着くかな?」
クリスの隣を歩きながら、相変わらず偉そうに荷台に乗っているエルを振り返る。
すると、エルは面倒くさそうに顔を歪ませた。
「お前なぁ、数分毎に訊くのやめろよ」
思わず、うっと言葉を詰まらせる。
その通りだけど…
「は、早く新しい国見たいんだもん!」
「リオ、すごい目が泳いでるよ」
それ言っちゃうかな…アスティのバカ!
あたしだって女の子だもん。
身だしなみには気を遣うわよ!