世界の果てに - 百年の光 -
「原因不明なら、国王に掛け合ったりしないの?」
「それが…セレエの国王は、その病気で亡くなっているの」
「…そんな…!」
「この国の危機を知って、大国メルティアスの国王が駆けつけてくれたんだけど…その国王様にまで、病が感染しちゃって…」
「えっ…?」
女の人の言葉に声を上げたのは、アスティだった。
驚いたように目を見開いている。
「どうしたの…?アスティ」
「…メルティアスの国王が、原因不明の病にかかったの?」
「ええ。私たちのせいで、メルティアスは今大変らしくて…」
俯いた女の人を、アスティはじっと見つめていた。
そんなアスティの様子を、エルが苦い顔で見ていた。
「おい、アスティ」
「…病気に関してなら、ユランに助けを求めるといいよ。医学の最先端の国だから」
アスティは女の人にそう言うと、背を向けて歩き出した。
クリスを引いたまま、こちらを振り返ろうともしない。
「え、ちょっとアスティ…!」
追いかけようとするあたしの腕を、エルが掴む。