世界の果てに - 百年の光 -
国王がお父さんってことは…アスティは…
「…お、王子様…?」
震える指でアスティを指すと、その本人は微笑んだ。
「うん。見えないでしょ」
「―――――っ、」
何かビックリしすぎて、声が出ない。
国の王子様って、盗賊とかやっちゃっていいの?
「おいアスティ、いいのかそんなペラペラと」
「平気だよ。リオだから」
「あっそ。それより、どうすんだよ」
「どうって?」
あたしは呆然としながら、二人の会話を聞いていた。
首を傾げたアスティに、エルはため息をつく。
「動揺するくらい、心配なんだろ」
その言葉に、アスティは弱々しく微笑んだだけだった。
自分のお父さんが原因不明の病にかかったのに、何を躊躇うんだろう?
「…行こうよ、アスティ」
紫色の瞳を、真っ直ぐ捉える。
アスティはあたしから視線を逸らすことなく、ゆっくりと首を横に振った。