世界の果てに - 百年の光 -
本当に、素直じゃない。
エルも―――アスティも。
「ありがとう、二人とも」
嬉しそうに笑うアスティに、あたしとエルは同時に口をつぐむ。
そして顔を見合わせて、笑った。
「よしっ!早く向かおう、メルティアスに!」
「お前、メルティアスがどこにあんのか知ってんのかよ」
「…知らない」
「ここからだと、一日歩き続けて二週間ぐらいかな」
「ええええぇ!アスティ王子様なんでしょ!? お迎え頼んでよ!」
「え、……そっか」
「納得すんなよ」
『みなさん…楽しそうですね』
「クリス!あと二週間大丈夫!?」
「自分の心配しろ体力ゼロ」
「んな!少しは体力ついたもん!」
「あはは、元気だ」
この時のあたしはまだ、この心地よい空間に安心しきっていた。
これから先、突き付けられる現実を、
―――――知りもせずに。