世界の果てに - 百年の光 -
真っ直ぐに父さんを見ると、その表情は未だに穏やかだった。
「…それがお前の選んだ道なら、誰も文句は言わないよ」
「父さん…」
「…お前が正しいと思った道を、進みなさい。帰って来たかったら、いつでも帰ってくればいい」
その言葉に、オレは少しだけ笑った。
「その時は、元気になっててよね」
微笑む父さんに別れを告げて、オレはベッドから離れた。
心配そうに、チェディとデューイがオレを見ている。
「チェディ」
オレが呼ぶと、チェディはビクリと肩を震わせた。
「何でしょう?」
「父さんの病は、本当に原因不明なの?」
オレの問いに、チェディは困ったように眉を寄せた。
「はい。どの医者に見せても、治療方法が分からない、知らないと…」
「ユランに報せは?」
「ユラン…ですと?」
チェディが首を傾げたことに、オレは驚いた。
「ユランの医療が発展してるってこと…知らない?」
そう言うと、今度はチェディが目を見張る。
「まさか…!小国ユランは、医療関係から手を引いたとの情報があったので…」
誰がそんな誤った情報を、とオレは唇を噛みしめた。