世界の果てに - 百年の光 -
………‥‥
久々の、ゆったりとした昼下がり。
俺はベッドに仰向けに転がり、ぼーっと天井を眺めていた。
城下町の賑わいが、開け放たれた窓から風に乗って聞こえてくる。
国王が病気だってのに、暢気なモノだな、と思った。
以前より緊迫した空気が流れていることも、勿論分かっているけど。
国民は敢えて、明るく振る舞っているのかもしれない。
「八年…か」
少し古びた天井を見つめたまま、ポツリと呟く。
あれからもう八年も経ったなんて、信じられない。
その間に俺は、成長できたんだろうか。
「…は。成長してたら、ここにはいねぇか」
情けない乾いた笑い声が、虚しく零れた。
成長してたなら、俺はアスティたちと一緒に城に行ってたはずだ。
…こんな、逃げるような真似はせずに。
今でも、時々思う。
俺は、正しい選択をしたのかどうか。
―――『オレも、一緒に連れてって』
あの日のアスティの言葉が、脳裏に甦った。